増資・募集株式の発行

増資・募集株式の発行

増資・募集株式の発行とは

株式会社の資本金を増やすことを「増資」と称することが多いですが、正確に申し上げますと、新株の発行をともなう資本金の増加のことを「募集株式の発行」といいます。

募集株式の発行には、新株を割り当てる相手により「株主割当」「第三者割当」に分けられます。

「株主割当」とは、すべての株主に対して持株数に応じて株式の割当てを受ける権利を付与することです。

「第三者割当」とは、株主割当以外の方法により、特定の第三者に株式を割り当てる場合をいいます。

大まかな内容になりますが、募集株式の発行の手続きの流れは以下のとおりです。

募集事項の決定

募集事項とは、株式募集に当たって定めなければならない具体的な条件のことです。

具体的には次の5点を決定することになります。

①募集株式の数
②募集株式の払込金額
③金銭以外の財産を出資の目的とするとき(現物出資)は、その旨及び当該財産の内容、価額
④金銭の払込み又は現物出資の給付の期日(期間)
⑤新株を発行する場合は、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

募集株式の発行により払い込まれた出資金は必ずしも、全額を資本金に組み込む必要はなく、払い込まれた額の2分の1までは資本金に組み込まず、資本準備金とすることも可能です。

増加した資本金の額をもとに、登記の際にかかる登録免許税を計算されますので(資本金増加額×0.7%。ただし最低額は3万円)、場合によっては、登録免許税を節約するために、実際に出資した額の一部(最低2分の1)だけを資本金に上乗せすることが考えられます。

ここから、株主割当と第三者割当では手続きの内容に違いが出てきますので、以下のとおり分けて記載いたします。


1.株主割当の場合

(1)募集事項の決定機関

①非公開会社(株式の譲渡制限規定のある会社)

原則として、募集事項を株主総会の決議で決定します。

ただし、定款で取締役会に授権している場合は取締役会(取締役会非設置会社では取締役の過半数の一致)で決定します。

決議事項として、募集事項のほかに、株主割当てを行う旨と募集株式の引受の申込期日を定める必要があります。

②公開会社(株式の譲渡制限規定がない会社)

取締役会の決議で募集事項を決定します。

決議事項として、募集事項のほかに、株主割当てを行う旨と募集株式の引受の申込期日を定める必要があります。

(2)募集事項の決定から株式引受人の決定まで

①株主に対する失権予告付催告

株主割当の募集事項等を決定したときは、申込期日の2週間前までに、募集事項等を通知します。

②募集株式の引受申し込み

募集株式の引き受けを申し込む株主は、会社が定めた申込期日までに引受申込書を会社に提出します。

③出資の払込み

申込期日までに申し込んだ株式引受人は、募集事項で定めた払込期日(又は払込期間)に出資金を払い込まなければなりません。

現物出資の場合は、金銭以外の財産を会社に給付します。

株式引受人は、払込期日(又は払込期間)に払い込むことにより株主になります。

なお、会社と株式の引受人の全員との間で、募集株式の総株引受契約を締結する場合は、上記(2)の手続きのうち①と②を省略することができます。

(3)変更登記の申請

募集株式の発行により新株を発行した場合には、払込期日又は払込期間の末日から2週間以内に変更登記をしなければなりません。
この登記すべき期間を経過してしまった場合でも登記申請は可能ですが、この場合、過料の制裁を受ける場合がありますので、登記すべき期間についてはご注意ください。


2.第三者割当の場合

(1)募集事項の決定機関-第三者割当

①非公開会社(株式の譲渡制限規定のある会社)

原則として、募集事項の決定は株主総会決議によります。

ただし、株主総会の決議によって、募集事項の決定を取締役会(取締役会非設置会社では取締役の過半数の一致)に委任することができます。

②公開会社(株式の譲渡制限規定がない会社)

取締役会の決議により募集事項を決定することができます。

募集事項の払込金額が、募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合(有利発行)には、原則として株主総会の決議が必要になります。

(2)募集事項の決定から株式引受人の決定まで-第三者割当

①株主に対する通知等

公開会社(株式の譲渡制限規定のない会社)は、取締役会の決議で募集事項を定めた場合には、払込期日(払込期間の初日)の2週間前までに、株主に対して募集事項の通知又は広告をして、既存の株主に募集株式の発行につき差止請求の機会を与えなければなりません。

②株式の申込み

募集株式の引き受けを申し込む者は、会社に対して引き受けの申込み(引受申込書を提出)します。

③株式の割当決議

会社は、申込者の中から募集株式の割当てをする者、及び割り当てる募集株式の数を定めなければなりません。

会社が公開会社であるか非公開会社であるかによって、割当決議の機関は異なります。

この割当てによって、申込者は割り当てられた募集株式の引受人となります。

会社と募集株式の引受人の全員が、総数引受契約を締結するときは、株式の申込み及び株式の割当決議の手続きは不要になります。

④出資の払込み

募集株式の引受人は、募集事項で定めた払込期日(又は払込期間)に出資金を払い込まなければなりません。

現物出資の場合は、金銭以外の財産を会社に給付します。

株式引受人は、払込期日(又は払込期間)に払い込む(財産を給付する)ことにより株主になります。

なお、会社と株式の引受人の全員との間で、募集株式の総株引受契約を締結する場合は、上記(2)の手続きのうち①から③を省略することができます。

(3)変更登記の申請

募集株式の発行により新株を発行した場合には、払込期日又は払込期間の末日から2週間以内に変更登記をしなければなりません。
この登記すべき期間を経過してしまった場合でも登記申請は可能ですが、この場合、過料の制裁を受ける場合がありますので、登記すべき期間についてはご注意ください。

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